試すべきこと 1: 嵐山の四季の景色を楽しむ
京都の嵐山は、四季折々でまったく違った顔を見せる。夏の晴天の嵐山や雪化粧の嵐山は格別だが、桜の季節の嵐山や紅葉の季節の嵐山は息をのむ美しさだ。
渡月橋
渡月橋は嵐山を象徴する場所だ。嵯峨野と嵐山の間を流れる桂川に架かる。渡月橋の名は、中世に亀山上皇が橋の上から夜空を眺めた時に、”まるで月が橋を渡っているようだ”と言ったことに由来すると伝わっている。
竹林の小径
竹はその80%がアジアに分布していると言われている。そのため、嵐山のような大きな竹林は、欧米ではほとんど見られないだろう。
うっそうとした竹林の中に、竹林の小径が緑のトンネルのように広がっている。風にそよぐ竹の葉の音や、竹の幹と幹がぶつかり合う音に、忙しい日常生活から解放された気がする。竹林にいると、リラックスするできるし癒される。
このエリアは有名なのでいつも混雑しているが、竹林の中を移動するには人力車(有料)がひとつの方法だ。人力車用の小道があるので、混雑を避けることができる。
天龍寺
天龍寺は世界遺産だ。京都で最も格式の高い禅寺のひとつで、修行僧が座禅を組んで修行している。
天龍寺はその美しい庭園でも知られている。大きな池を囲むように造られた庭園は、嵐山や亀山といった周囲の景観と調和し、壮大な美しさを誇っている。季節により異なる庭園の美しさを楽しむことができる。
静かで規則的な模様に整えられた石庭を見ていると、何だか清々しい気分になる。
キモノ・フォレスト
京福電鉄の嵐山駅には「キモノ・フォレスト」があり、京友禅の生地を詰めた、たくさんのポールが森のように並んでいる。夜のキモノ・フォレストはうっとりするほど美しい。
友禅は江戸時代(17世紀)に発明された染色技術で、京友禅、加賀友禅、江戸友禅の3つがある。京友禅の特徴は、金銀の糸や金箔を使った豪華絢爛な刺繍だ。
なお、京福電鉄の嵐山駅は同じ駅名の、阪急の嵐山駅、JRの嵯峨嵐山駅、トロッコの嵐山駅とは別の駅なので、注意が必要だ。
試すべきこと 2: トロッコ列車に乗る
嵯峨野と亀岡の間には、嵯峨野Romantic Trainというトロッコ列車が走っている。季節により、車窓からは、いろいろな景色を楽しむことができる。列車は春は桜のトンネルをくぐり、秋は紅葉の山肌を走る。
保津川に沿ってゆっくりと走り、写真の撮影ポイントも多い。保津峡の美しさは息をのむほどだ。
保津峡駅には、ホームにタヌキの置物が並んでいる。古来から、狸は商売繁盛を願って店先に飾られる縁起物だ。「タ」は「他人」、「ヌキ」は「出し抜く」という意味だ。
トロッコ列車は例年3月1日から12月29日まで運行(12月30日から2月末までは運休)なので注意が必要だ。その年のスケジュールを事前に確認する必要がある。
トロッコ列車の詳細については、こちらの「嵯峨野トロッコ列車」のホームページから。
試すべきこと 3: 湯豆腐を味わう
京都と豆腐
京都はおいしい豆腐で有名だ。京都は良質な地下水に恵まれた土地だからだ。実は、豆腐の80〜90%は水でできている。京都の地下水は軟水で、大豆の風味豊かな柔らかな豆腐ができる。
豆腐は作りたてが一番おいしい。豆腐を作ってから時間が経つと、繊細な大豆の風味が失われてしまうからだ。だからこそ、京都を訪れたら、京都でしか味わえない豆腐をぜひ味わってほしい。
嵐山に隣接する嵯峨野は、京都でも有数の豆腐の産地であり、質の高い豆腐料理店が多い。
湯豆腐
湯豆腐を硬水で調理すると固くなる。水に含まれるミネラルが豆腐を固めるからだ。一方、京都の軟水で湯豆腐を作ると、やわらかくなめらかな食感になる。
湯豆腐は、豆腐、水、昆布というシンプルな材料で作られる。軟水で湯豆腐を作ると、昆布だしが水によく溶け出すので、昆布だしが豆腐を包み込んだおいしい湯豆腐ができる。京都の水は豆腐作りにも湯豆腐にも理想的なのだ。
湯豆腐は豆腐そのものの味をダイレクトに楽しめるシンプルな食べ物だが、一緒に食べる薬味によって味の変化が楽しめる。
上の写真は、湯豆腐、醤油ベースのつけダレ、それに薬味(左から鰹節、刻みネギ、唐辛子をふった大根おろし、おろし生姜)だ。
嵐山・嵯峨野を訪れたら、湯豆腐は必ず味わいたいものだ。嵐山や嵯峨野には歴史ある湯豆腐の名店が多いからだ。
ネイティブ日本人からのアドバイス
保津川下りを楽しむ
時間に余裕があれば、保津川下りを楽しむのはどうだろう。
日程はこうだ。: まず、トロッコ列車で嵯峨野駅または嵐山駅から、車窓の風景を楽しみながら亀岡駅方面へ向かう。亀岡駅で列車を降りたら、保津川下りの乗船場へ向かう。船で嵐山に戻るのだ。保津川下りの終点は嵐山のど真ん中だ。その後で嵐山と嵯峨野の観光を楽しむというプランだ。
保津川下りの詳細については、こちらの「保津川下り」のホームページから。
トロッコ列車の亀岡駅から保津川下りの乗船場までは京阪京都交通バスで約11分。(トロッコ列車亀岡駅とJR亀岡駅は離れているので注意)
京阪京都交通バスの詳細については、こちらの「京阪京都交通バス」のホームページから。
西芳寺の自然美を堪能する
時間があれば、1300年の歴史を持ち、世界遺産にも登録されている西芳寺を訪れたい。
寺の庭が苔の絨毯を敷き詰めたように見えることから「苔寺」と呼ばれている。庭には約20種類の苔がある。
参拝には事前予約が必要だ。将来に渡って寺を美しく保つため、見学者の数をコントロールしているのだ。
参拝者は写経などの宗教行事に参加してから、庭園を見学することになる。写経でお経を書き写すことで「功徳」を積むことができると信じられている。お経を一字一字書き写すことで、心が落ち着き、雑念がなくなるのだ。
近年は海外からの参拝客も増えており、漢字に不慣れな人もいることから、49文字の短い写経も用意されている。
西芳寺の詳細については、こちらの「西芳寺」のホームページから。
豆腐の姉妹品を試す
湯葉
京都はおいしい豆腐の産地であると同時に、おいしい湯葉の産地でもある。湯葉は、大豆を水に浸してすりつぶし、豆乳を作り、加熱して箸で引き上げたものだ。豆腐は豆乳をミネラルで固めたものなので、湯葉は豆腐の親戚ということになる。
湯葉の食べ方はいろいろあるが、最もポピュラーで、湯葉そのものの風味を味わえるのが湯葉の刺身だ。わさび醤油で食べる。
湯葉は会席料理では、和風の澄まし汁として出されることが多い。
湯葉は、そばやうどんの具材としても使われる。
そばについて詳しく知りたい方は、こちらから:“知っておきたい8つの日本食” / “そば “
ひろうす
ひろうすは「ひりゅうず」「がんもどき」とも呼ばれる。崩した豆腐に山芋や卵などを加え、野菜などの具材を混ぜて丸め、油で揚げたものだ。 表面は油揚げのような食感だが、中は豆腐のなめらかな味と食感が楽しめる。混ぜる野菜は百合根、蓮根、銀杏、椎茸などが代表的だ。
基本的な調理法は、豆腐に熱湯をかけて余分な油を落とし、だし汁や醤油などで作ったスープで煮るものだ。ひろうすはだし汁を吸うとふっくらと膨らむ。人参や椎茸などの野菜と一緒に煮込むこともある。
高野豆腐
忘れてはならないのが「高野豆腐」だ。豆腐を凍らせて低温で熟成させ、乾燥させたものだ。別名「凍豆腐」とも呼ばれる。もともとは保存食として考案された。
高野豆腐は乾燥した状態ではスポンジ状になっている。高野豆腐を調理するには、まず50~60℃(122~140°F)のお湯に浸してから、水洗いして水気を絞る。その後、スープやだし汁で煮る。こうすることで、高野豆腐はスープやだし汁をよく吸い込み、独特の味と食感が生まれるのだ。
高野豆腐は様々な食材と一緒に調理することもある。代表的なレシピは、椎茸や人参と一緒にだし汁、醤油、酒、みりんなどで煮込むものだ。上の写真は、枝豆と小松菜と一緒にだし汁で煮た高野豆腐だ。
自宅で湯葉サラダを作る
乾燥湯葉が、嵐山や嵯峨野の豆腐料理店や土産物店で売られている。湯葉は豆腐と同じくヘルシーな食品なので、家庭で湯葉サラダを作ってみてはいかがだろう。湯葉には長方形のものと、結んである立体的なものがある。どちらの湯葉を使ってもよい。
湯葉サラダのレシピは以下の通り:
乾燥湯葉を水で5分、またはぬるま湯で3分ほど戻す。(乾燥湯葉に使用方法が記載されている場合は、それに従うこと)
湯葉を好みの大きさに切る。(長方形の湯葉の場合)
サラダボウルに湯葉を入れ、お好みの具材と一緒に盛り付ける。上の写真は、キャベツ、レタス、プチトマト、ゆでエビ、ヤングコーン、とうもろこし、人参、オクラを使った湯葉サラダの例。
酢大さじ3(45ml)、しょうゆ大さじ2(30ml)、砂糖小さじ2(8g)、オリーブオイル大さじ2(30ml)を混ぜてしょうゆベースのドレッシングを作り、サラダにかける。
アクセス情報
嵐山 (渡月橋)へ
JR「嵯峨嵐山駅」から徒歩12分
阪急電鉄「嵐山駅」から徒歩10分
京福電気鉄道(嵐電)「嵐山駅」から徒歩3分
トロッコ列車 嵐山駅へ
渡月橋から徒歩17分
天龍寺へ
JR「嵯峨嵐山駅」から徒歩13分
阪急電鉄「嵐山駅」から徒歩15分
京福電気鉄道(嵐電)「嵐山駅」からすぐ
保津川下りの乗船場へ
トロッコ列車 「亀岡駅」下車 京阪京都交通バスで11分
JR「亀岡駅」から徒歩8分
西芳寺へ
阪急電鉄「松尾大社駅」から徒歩20分
京都駅で京都バス73系統もしくは83系統(苔寺・鈴虫寺行き)に乗車、「苔寺・ 鈴虫寺バス停」から徒歩3分