試すべきこと 1: 海に浮かぶ厳島神社に参詣する
フェリーで海を渡り宮島へ

宮島へ行くのはドラマチックな体験だ。宮島ターミナルからフェリーに乗ると、数分で宮島の象徴である厳島神社の大鳥居が見えてくる。
満潮時には、神社の大鳥居がまるで海に浮かんでいるように見える。鳥居の朱色と海の青色のコントラストが美しい。宮島はユネスコ世界文化遺産に登録されている。

宮島は神々の島として崇められており、神社の社殿、その前面の海、そして神社の背後にある弥山(みせん)の原生林が世界遺産に登録されている。
厳島神社
大鳥居

厳島神社の大鳥居は、神社の社殿から約160メートル沖合いに位置している。主柱の柱周りは9.9メートル、高さは16.6メートル、幅は24.2メートルで、総重量は約60トンにもなる。これは日本最大の木造鳥居とされ、日本の重要文化財に指定されている。
主柱は2組の側柱で支えられている。上部は箱形になっていて、中に約4トンの小石が詰まってている。この重みによって、柱は立っているのだ。
大鳥居は厳島神社の入り口だが、宮島行きのフェリーはこの下を通らないので、大鳥居をくぐりたい場合は、干潮時に歩いて渡るといい。

でも、島に住む鹿たちは水を全く気にせず、大鳥居を通り抜けていく!
寝殿造り

社殿は「寝殿造り」。寝殿造りは平安時代(794-1185)の貴族の住居で用いられた建築様式だ。
各建物は、主人が居住する正殿を囲むように東西南北に配置されており、通路を通じて複数の回廊や能舞台とつながっている。

朱色の柱と梁、白い壁、青い海、そして背景に広がる弥山の緑の調和が見事だ。優雅な美しさの中にも開放感が感じられる。
能舞台

厳島神社の能舞台は、日本の重要文化財に指定されている。能は、日本の伝統的な芸能の一つで、この能舞台で行われる。

能の舞台では、能面と美しい衣装を身に着けた役者たちが、歌と音楽に合わせて舞うことで、物語を表現する。同じく伝統芸能の1つである歌舞伎とは異なり、能の役者は面を着用するため、表情が見えない。だから、観客は、役者の身振りから、その登場人物の感情を想像しなければならないのだ。

毎年4月、厳島神社で特別な能が行われる。この季節に宮島を訪れる予定なら、その年の能楽公演のスケジュールを事前に確認してみよう。宮島での特別な思い出になるかもしれない。
千畳閣 (豊国神社)

宮島には「千畳閣」という神社がある。別名「豊国神社」ともいう。千畳とは畳1,000枚の意味だが、実際は857畳の広さだ。それでも、とても大きな空間だ。
木の床には多くの柱があるが、壁がほとんどないため、内部からの眺めは絶景。訪問者は内部を散策し、弥山と宮島の景色を楽しむことができる。
建物の中にいると、まるで内と外が繋がっているようだ。古来より、日本の家屋は自然との調和を重視した設計が特徴。伝統的な日本建築には障子があるが、その薄い紙の戸のすぐ後ろには庭が広がっているという具合だ。

千畳閣を訪れる予定なら、銀杏の葉が黄色く色づく晩秋から冬にかけての時期がオススメだ。薄暗い室内と、日光に照らされた黄色い銀杏の葉のコントラストが美しい。木の床が鏡のように黄色い銀杏の葉を映し出し、壮観な景色を創り出している。この空間で静かに時を過ごすと、日々の喧騒を忘れ、心が清められるようだ。
長浜神社

厳島神社をはじめ、多くの神社や寺院が、山に向かって桟橋の右側に集中している。だから、時間があれば、桟橋に戻る前に、桟橋の左側にある長浜神社を訪れるのもオススメだ。長浜神社では、海辺に建てられた小さな鳥居を見ることができる。朱色の鳥居で、厳島神社の大鳥居とそっくりだ。長浜神社は、隠れたフォトスポットなのだ。
ロープウエー

宮島は島全体が聖なる島として崇められており、ロープウエーは宮島のパノラマビューを楽しむのに最適だ。秋の紅葉シーズンにロープウェイで弥山を登ってみよう。息をのむほど美しい景色が見られる。

山頂に着くと、見たことのない景色が広がっている。山頂からの遮るものない360度のパノラマビューは壮観で、宮島の大鳥居、対岸の広島の街並み、そして瀬戸内海の美しい島々が一望できる。
試すべきこと 2: 牡蠣のお好み焼きを堪能する
宮島の牡蠣

宮島周辺の海は牡蠣養殖に最適だ。弥山の原始林は、1万年以上もの間、人間の手が入ることなく残されてきた森だが、この森によって磨かれたミネラル豊富な水が宮島の海に流れ込んでいるのだ。
また、この海には、牡蠣の栄養源となる植物プランクトンが豊富で、濃厚で深い味わいの牡蠣が育つ環境が整っている。さらには、宮島周辺の海には多くの島が点在するため、穏やかで大きな波もない。牡蠣を大きく育てるのに最適だ。
牡蠣の養殖には、牡蠣の殻を付けたロープを使う。これを海に沈め、木製の筏(いかだ)に固定する「牡蠣いかだ」と呼ばれる方法が使われる。牡蠣の幼生は殻の上で成長するのだ。
殻付きの焼き牡蠣

宮島では、焼き牡蠣を楽しむことができる。焼き牡蠣は、殻のまま蒸し焼きされる。生牡蠣ももちろん美味だが、牡蠣は熱することで味が凝縮される。一口噛んだ瞬間に、口の中に濃厚な味わいが広がるのだ。牡蠣の海の香りと醤油の組み合わせは絶品だ。殻に残った濃厚なスープは、貝殻を皿代わりに使い、こぼさないように注意しながら楽もう。
宮島には、日本酒を飲みながら焼き牡蠣を楽しむことができる飲食店もあり、ぜひ試してみたい。
牡蠣のお好み焼き

宮島のある広島は、広島風お好み焼きが有名だ。広島風お好み焼きは、各素材を別々に調理し、層状に重ねて作るのが特徴だ。卵と小麦粉の生地を薄く焼き、上にキャベツを高く積み重ねる。広島風お好み焼きは、上から順に卵、焼きそば、キャベツ、小麦粉の生地の順だ。
牡蠣自体、最適な環境で育てられるため、とても美味しいが、有名な広島風お好み焼きの上に、この牡蠣をのせて食べるのは、何とも贅沢だ。

仕上げには、広島風のお好み焼きに特有の甘いソースがかけられる。牡蠣のふっくらとした食感とキャベツのシャキシャキとした食感の対比が絶妙だ。加熱されて濃縮された牡蠣の風味は、キャベツの甘みとよく合う。歩きながら食べられるテイクアウトの牡蠣のお好み焼きを売っている店もある。
お好み焼きには、広島風の他に関西風のお好み焼きがある。
お好み焼きについて詳しくはコチラから: ”知っておきたい8つの日本食” / “お好み焼き・たこ焼き”
試すべきこと 3:オリジナルのシャモジを作ろう

シャモジは、ご飯をすくってお碗に盛るための道具だ。炊いたご飯は「メシ」で、すくうことは「取る」だ。つまり、シャモジは「メシ・取る」ための道具ということになる。
古来、公の命で、敵を召喚して捕らえることを「召し取る」と言った。だから、シャモジは戦いに勝利する意味を持つ象徴的な道具なのだ。さらに、シャモジは米をすくう道具であるため、幸運をすくう行為を象徴するとも言われている。
こうした理由から、シャモジは勝利を確実にすること、学業で成功すること、さらにはビジネスの繁栄を願うお守りとして定着したのだ。

宮島で縁起物として扱われるシャモジは、音楽、芸能、学業、経済の繁栄を司る女神・弁天が演奏する琵琶を模して作られたたと言われる。シャモジは「宮島さん」とも呼ばれている。

宮島には世界最大のシャモジがある。その長さは7.7メートル、最も広い部分の幅は2.7メートルで、重量は2.5トンだ。樹齢270年のケヤキの木から作られている。etto宮島交流館に展示されている。
シャモジは宮島のお土産にオススメだが、どうせ買うなら、自分だけのオリジナルのシャモジを作って帰ってはどうだろうか。
「杓子の家」では、オリジナルのシャモジのストラップが作れる。店舗で手書きで好きな言葉を書き込むことができる。どのような言葉を書き込みたいだろうか。名前を書くことも可能だ。自分のお土産として、または親しい友人へのサプライズギフトとしても最適だ。
杓子の家の詳細については、こちらの「杓子の家」のホームページから。
ネイティブ日本人からのアドバイス
広島のローカルフード
あなご飯

宮島で牡蠣のお好み焼きと並んで、ぜひ試したいもう一つの料理があなご飯だ。あなごは、浅い海の砂泥底に生息する鰻に似た魚だ。牡蠣いかだで牡蠣を養殖すると、牡蠣が出す泥が海底に堆積し、あなごの餌となる小魚や甲殻類の栄養源になる。そのため、宮島の周辺海域は、あなご生育に最適で、風味豊かで柔らかく、脂ののった肉質のあなごが育つのだ。
あなごは串に刺し、炭火で焼いた後、砂糖、醤油、みりん、酒で作った甘辛のタレを塗り、光沢が出るまで再び焼く。この調理法がかば焼だ。宮島では時には、このタレで蒸したり、煮たりする場合もある。調理後、約3cmの大きさにカットされたあなごは、醤油ベースのスープで炊いたご飯の上に盛り付けられる。あなごの焼き加減、蒸し加減、煮込み加減やご飯の調理方法は、店によって大きく変わる。
あなごのかば焼きは鰻のかば焼きに似ているが、鰻よりも脂肪が少なく、味がやわらかいのが特徴だ。
鰻のかば焼について詳しくはコチラから: ”名古屋城と鰻のかば焼き―是非とも試すべき3つのこと” / “試すべきこと2:ひつまぶしで鰻のかば焼きを味わう”
汁なし担々麺

宮島ではないが、広島市では汁なし担々麺が有名だ。茹でた中華麺に辛い醤油ベースのソースを和えたラーメンの一種で、スープはない。広島発祥の有名な料理なので、機会があればぜひ試してみたい。
日本では、担々麵と聞くと、醤油、ごまのペースト、ラー油でできた辛くて、でもクリーミーなスープに、挽肉と青梗菜をトッピングした麺を想像する。実のところ、現在の担々麵は、1950年代に中国四川省から日本に来た中華料理人の陳建民よって考案されたものだ。

中国の担々麵は、唐辛子の辛さと酸味を特徴とした料理で、汁なし担々麵同様、スープはない。料理名の「担」は「かつぐ」という意味だ。この料理は、中国四川省の成都で天秤棒でかついで売り歩かれていたことから、その名前が付いたとされる。スープがあるとこぼれてしまい、かつぐのが難しかったためだ。
広島で初めて汁なし担々麵を提供した店は「きさく」というラーメン店で、中国からの交換留学生から学んだレシピを基に作ったものを売り始めたのが、その始まりと言われている。
汁なし担々麵は、タレが麺にしっかり絡み、素材の豊かな風味を直接楽しむことができる。
ラーメンについて詳しくはコチラから: ”知っておきたい8つの日本食” / “ラーメン”
家で牡蠣醤油のパスタを作る

宮島では高品質の牡蠣が知られているが、牡蠣のエキスを使った牡蠣醤油も作られている。牡蠣醤油にはいくつかのブランドがあり、宮島だけでなく広島市内でも購入が可能だ。興味があれば、牡蠣醤油を買って帰って自宅でパスタを作ってみよう。とても簡単で美味だ。以下にレシピを掲載する:

(レシピ 1人分)
ベーコン40gを1cm角に切る。
マッシュルーム30gを薄切りにする。
ほうれん草30gを一口大に切る。
フライパンにオリーブオイルを熱し、3gの刻んだにんにくを炒め、その後ベーコン、マッシュルーム、ほうれん草を炒める。
パスタの茹で汁25gを加え、混ぜ合わせる。
フライパンに茹でたパスタを加え、牡蠣醤油11gとバター10gを加えて、混ぜ合わせ、適量の塩とコショウで味を調える。 パスタ100gを茹でる。

アクセス情報
宮島へ
JR線「宮島口」駅より徒歩6分で宮島行のフェリーターミナルに行く。宮島行のフェリーで10分。